ウェブマガジン カムイミンタラ

1988年03月号/第25号  [ずいそう]    

ロケーションと食べもの
大橋 英子 (おおはし えいこ ・ NHK札幌放送劇団)

仕事柄、テレビ、映画などでロケーションに出かけることがある。それも北海道の場合、お話しのほとんどが、寒い所、厳しい所ということで、島とか道東が多い。

ロケーションの楽しみの一つは、地方の食べもの。北海道ではやはり、新鮮な魚を期待してしまう。

最高だったのはウニが解禁になったときの利尻島、朝から丼(どんぶり)に1杯の生ウニが毎日出た。とりたてのトロリとした甘みは、はしたないが、この仕事をして良かったと思ったくらい。毛ガニも毎日食べることができた。ぜいたくな話しだが、カニも毎日食べると当然飽きてくる。2、3日遅れて東京からやって来た星野知子嬢が、テッポー汁に感激して、お代わりをしているのをニャニヤして見ていた。そしてまた2、3日、星知嬢ため息をつきながら日く「カレーライスかスパゲティ食べさせるお店あるかしら」。

魚の豊富な季節でもこうなのだから、冬の長期ロケは大変だ。冬の海ではとれる魚もきまっている。だから、食事を提供する側も大変。観光の宣伝にもなるというので役場も協力して、珍しいものを、と考えてくださるのだが、工夫しても鱈(たら)は鱈。

「菓子パンが食べたい。船が着いたら、すぐ買ってきて欲しい」と、付き人に頼んでいるスターもいる。

礼文島ロケの時は、堺正章のところへ、民放局やらプロダクションからステーキ肉が送られてきて、お相伴にあずかり、あんなに魚志向だったのに、久し振りでウマいものを食べたと思ったりした。

秋の弁当は、鮭の切身と鮭のフライが同居している。そんな時のフキの煮付けがやけにウマかったりする。

と、まあぜいたくな話しだが、札幌に帰って来ればまた、磯の香りの中で食べる魚が懐かしくなる。ないものねだりということであろうか…。

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