ウェブマガジン カムイミンタラ

2002年11月号/第113号  [ずいそう]    

市民ランナー
篠原 宏明 (しのはら ひろあき ・ 深川市・喫茶店経営)

私は「市民ランナー」です。実業団の選手のように、ランニングで生活しているわけではないし、学生生徒のように授業や部活で評価を受けるわけでもありません。ただただ好きで走っています。

保育士の妻が昨年の春から走り始めました。ダイエットが目的でした。ゆっくり、一緒に走ると、仕事のこと、子どものこと、夫婦の会話が弾みます。耳の痛い話題になると、少しペースを上げました。妻のおしゃべりが出来なくなるからです。

そんな妻も、私と走っているうちに、次第に距離も伸び、スピードもついて、大会に参加するようになりました。今年の夏には「北海道マラソン」に2人で参加、完走することができました。

市民ランナーにとって、北海道マラソンはちょっとしたスティタスです。180万都市の真ん中を、多くのドライバーに迷惑をかけながらも、3千人以上の大会役員ボランティアの方々に支えられ、70万人もの沿道の声援に後押しされて走るのですから。

なにより翌日の北海道新聞に完走者全員の名簿が載るのが魅力です。職場から帰ってきた妻は、「誕生日でも、こんなにたくさんの人から、おめでとうって言われたことはないわ」と、喜んでいました。

すっかり「市民ランナー」の一員となった妻は、今日も忙しい中から時間を見つけては走りに行きました。一方、私は、最近膝を痛めたり、風邪を引いたりで、走れない日が続いています。

巷では、ウォーキングがブームです。鳥のさえずりに耳を傾け、道端の野草の花を愛で、季節の移ろいに心を傾けるには、ウォーキングに軍配が上がると思っています。

しかし、やっぱり私は、風を切って走るランニングが気持ち良い。妻の背中を追って走る私の「市民ランナー」復活の日まで、もうしばらくウォーキングの日々が続きそうです。

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