ウェブマガジン カムイミンタラ

2001年11月号/第107号  [ずいそう]    

最・北の国から
新田 みゆき (にった みゆき ・ 稚内 ファーム&スペース・レラ)

「あっ、ホカホカご飯だね! 納豆食べようかなあ~、山菜味噌にしようかなあ」食卓に子供たちの声が響きます。我が家のキッチンには電気炊飯ジャーの姿はなく、ご飯は一日に一度お鍋で炊きお櫃で保存します。ですから普段は温かいご飯は一日に一度です。

モノは溢れているのに満たされている気がしない、そんな風に感じたことはありませんか?「いつもある」ことだけが暮らしの豊かさを計る指標ではないはず…。そう考える私たちは、生活に必要な様々なことをつくる体験を通し持続可能な暮らし方を模索している最中です。自分たちが納得し安心して食べられる卵やお肉をつくるために鶏や豚を飼う。エネルギーの有限性を理解するために太陽光発電や間伐材を利用し生活エネルギーをつくる。心地よく住むために環境負荷の少ない資材を使って家の改修工事を手がけてみる…。日常を営むために必要なことをいくつかやってみると、楽しみながら自分たちなりの豊かさを体感することができますが、その反面、私たちが抱える地球環境問題の根の深さも見えてきます。環境破壊や食糧問題、資源の枯渇など、負の遺産が山積み状態で次世代へ持ち越されようとしている。複雑に絡み合った大きな問題に「どうすればいいのだろう」と頭を抱えたくなることもたくさんあります。でもそんな時は、私の取り得?の単純な思考回路が元気に働き出します。「できることからやってみよう」と。

毎年秋が深まってくる頃、子供たちが心待ちにしていることがあります。木の少ない家の周辺に植えるため、どんぐりやクルミなど木の実を拾いに行くのです。ゲームボーイで遊ぶことと同じぐらい木の実拾いも大好きな子供たちは、「リスさんの分も残しておかなくちゃ」といいながら今年もせっせと集めてくれました。ついでに山ブドウやコクワなど秋の恵みを収穫し、とてもうれしそうに帰宅しました。子供たちが搾ってくれた期間限定の山ブドウジュースは、酸っぱいけれどしみじみと自然の恩恵を感じることができます。

自然と共に生きる術を次の世代に伝えることを諦めずに目指したい。そんなおもいが強くなる味です。

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