ウェブマガジン カムイミンタラ

2001年05月号/第104号  [ずいそう]    

タバコ・タバコ…
菱 二三雄 (ひし ふみお ・ 北海道演劇財団専務理事)

禁煙、2年7カ月が経過。つい昔、気管支炎と鼻炎が同居し、セキ、タン、水バナの大競演。けむりが鼻を通過しなくなり、せき込みもあって、いつもの町医者へ。一段落し、「タバコって棺桶のクギみたいもんなんだわ」と優しい顔してイヤなことを言う。これって「この際、止めればいっしょ」の殺し文句? すっかりハマって、「したら止めるべや」。で、ニコチン入りガムを調剤薬局で入手、この品は処方せんがないとダメ。保険も効かないうえ、1個が100円。日に10個程度の使用で、となると「うーん千円だべさ」。ひょんなところでケチごころ。半分にちぎった小片を、1日4つ、5カ月間、口をモグモグ、いちずに耐えた。

これまで『煙草は止められる』類いの本を読み切る。「百害あって〈一益〉もなく、緩慢な自殺行為で、ときには殺人行為にもなる」とあり、そういえば受動喫煙―まわりの人の吸っている煙を吸うのが、身体に悪いとは、前からやかましくいわれていた。我が家でもカミさんが「アンタのせいで私のほうがビョーキになるかもしれないっしょ」。正直なところ、これには参った。この辺のぼやきが始終こびりつき、「そったらこというんなら止めればいんだべさ」。そんな強がりが、禁煙への下地であったのかも―。

そうするうち、アメリカでの喫煙調査に出くわした。それは、喫煙者を夫に持つ女性は、非喫煙者を夫に持つ女性より、心臓発作のリスクが2倍も高いというもの。生活習慣の違いこそあれ、カミさんの言い分はおおよそ当たっている。さらに調査の1年前に夫が禁煙した女性では、リスクが半減したというわけ。途端に、ご飯がうまくなった。が、片やアメ玉に手がいく。あいだ食いはする、サケにも目が無く、やがて早寝する、などなどで標準体重を5キロ超。そのツケが回り、とくにズボンは腹をへこましても収まるはずがなく、作り直したり、身内に送ったり、ちょっぴり新調したりでお金のかかること。肥満もまずいンでないかい。

ところで最近、飛行機など狭い座席に長く座るため足に血栓ができる「エコノミークラス症候群」への関心が高まり、その予防策の1つに機内のタバコやサケは控えることが挙げられている。列車や長距離バスなど、ほかの交通機関でも同じだそう。

「この際、止めればいっしょ」。

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